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トロツキーの労働組合論

トロツキー労働組合論(三一新書)
 この一冊でトロツキーの労働組合運動に関する基本的方針をわれわれは知ることができる。トロツキーは労働組合を革命政党の立場からとりあげるのであり、したがってその批判の矢はサンディカリズム、アナーキズムなど労働組合主義にむけられている。そして革命的前衛は労軸組合内で活動し、その階級的統一に努力し、過渡的綱領によっていかに大衆を権力にむかわせるかを具体的に示唆する。本書には、共産主義とサンディカリズム/帝国主義衰退期における労働組合/過渡的綱領、などの基本文献が収録され、適切な解説が付されており労働者の必読文献である。
○このほかでは「情況」・一九七〇年五月号に、帝国主義衰退期における労働組合/共産主義とサンディカリズムが掲載されている。
労働者管理・評議会・自主管理(上・下二巻 柘植書房)にはトロツキーのものとして、一九〇五年/ソヴィエトの歴史/一九一七のソヴィエト/左翼反対派の綱領/生産に対する労働者管理について/過渡的綱領## 、などが抄訳で収録されている。

トロツキーの世界革命戦略

 レーニンと共同でなしとげたコミンターンの革命的諸原則によって各国の共産党をきたえ、新しい帝国主義の危機にそなえて、世界革命の展望をたてて、闘いをみちびくことにトロツキーの全意識が集中された。スターリンはトロツキーをボリシェヴィキから追放しさらに国外へ追放し、ボリシェヴィキの反対派をすべて粛清してスターリンの官僚独裁体制をきずき、この体制を防衛するために、一国社会主義論をあみだし、マルクス主義を歪曲する。この国内政策は外交へと延長して、スターリンは帝国主義やファシズムと妥協して、各国の革命運動を裏切り、見殺しにしていく。
 永久革命によるトロツキーの世界革命の戦略はこのスターリンの裏切りをあますところなく暴露して、その筆ぽうは火を吐くように鋭い。
 一九三〇年代にいたり、トロツキーの革命戦略は文字通り全世界を包含する。これはまさに、一九二〇年代までのレーニン、トロツキーの戦略―ロシア革命→ヨーロッパ世界革命―を飛躍発展させた戦略であり、複合的発展の法則による世界永久革命を現実の革命の力学に結びつける端緒をきりひらいたのである。われわれはアジア革命の理論的出発点をトロツキーの中国革命論に求めることができよう。この時期のトロツキーの著作は壮大であり奥深い。
レーニン死後の第三インターナショナル(トロツキー選集T期4 現代思潮社)
社会ファシズム論批判(トロツキー選集T期7 現代思潮社)
スペイン革命と人民戦線(トロツキー選集T期8 現代思潮社)
中国革命論(トロツキー選集T期6 現代思潮社)
赤軍と白軍の狭間に(鹿砦社)
○ このほか民族問題ではトロツキー著作集―独立ソヴィエト・ウクライナのために(三九〜四〇下)(柘植書房)がある。
○アジアをテーマにした論文ではトロツキー著作集田中メモ(三九〜四〇下)/中国とロシア革命(三九〜四〇下)/ ##中国と日本## (三七〜三八下)(柘植書房)がある。
○クロンシュタット叛乱(鹿砦社)
ラテン・アメリカ(三八〜三九下)も著作集(柘植書房)に収録されている。
○第二次帝国主義世界戦争を予測し、世界革命を展望した論文はトロツキー著作集(柘植書房)で次のテーマでまとめられている。
第二次世界戦争・帝国主義・スターリニズム/アメリカの諸問題(三九〜四〇上)最後の論文と手紙(三九〜四〇下)世界政治と来るべき戦争(三八〜三九上)フランス/アメリカ/雑録(三八〜三九下)世界政治ときたるべき戦争(三七〜三八上)
テロリズムと共産主義(トロツキー選集T期12 現代思潮社)
ボナパルチズムについて(「第四インターナショナル 第九号」新時代社)
黒人革命論(風媒社)

第四インターナショナル

 トロツキー批判者はオウムのように“トロツキーの組織論上の弱さ”を #したり顔# でくりかぇす。これがいかに的はずれであるかは、本書のマンデル論文があきらかにしているだろう。トロツキーの組織(=革命党)の闘いの全結論は第四インターナショナルに凝縮しているといわなければならない。
 トロツキーの理論をみとめるようなふりをしながら、第四インターナショナルを否定するものがいるが、これはトロツキーのすべての闘いの集約点たる第四インターナショナルを否定することによって、事実上、反トロツキズムになっているのである。
 トロツキーの世界革命戦略を実現する力、これこそ第四インターナショナルであり、われわれはトロツキーの革命理論を学ぶとしたら、その実践的、組織的結論である第四インターナショナルを選択しなければならない。このときはじめて、トロツキズムを学んだといえよう。
資本主義の死の苦悶と第四インターナショナルの任務(過渡的綱領)(国際革命文庫・新時代社/トロツキー労働組合論 三一新書/トロツキー著作集三八〜三九上・柘植書房/トロツキー選集T期10 現代思潮社/労働者管理・評議会・自主管理・柘植書房)
第四インターナショナル(トロツキー選集T期10 現代思潮社)
トロツキー著作集(柘植書房)にはこのテーマで、第四インターナショナル(三八〜三九上)第四インターナショナルの諸問題(三七〜三八下)がある。

文学・芸術におけるトロツキー

 革命は人間社会の全分野にわたる変革であり、ロシア革命は文化や芸術の領域においても、ブルジョア文化を克服して、文化革命をもたらした。この文化革命を理論的に指導したのがトロツキーであり、トロツキーの文学や芸術における革命的立場は、ヨーロッパの知識人に多大の影響をあたえ、シュールレアリズム運動はトロツキーの理論によって導びかれたともいえよう。ブルジョア文化と闘い、スターリンによる文学や芸術の官僚的ひきまわしや俗流化にたいして闘うため、われわれはトロツキーの文化革命の理論を学ぶ必要がある。
文学と革命T 文学と革命U(トロツキー選集T期11の1、2 現代思潮社)
文学と革命(世界思想教養全集13 ロシア革命の思想 河出書房)
文化革命論(トロツキー選集U期16 現代思潮社)

トロツキーの闘いの生涯

 レオン・トロツキーは一八七九年に生まれ、一九四〇年に暗殺された。六〇年間のトロツキーの生涯は文字通り革命の生涯であり、トロツキーは革命家として生まれ、革命家として死んだ。一九世紀末に政治活動に入り、最初にツアーによってシベリアに流刑されたのは一九〇二年であった。二〇世紀はまさにレーニンとトロツキーが革命運動に参加することをもって幕をあけたのである。
 トロツキーが生きた二〇世紀はじめの四〇年間は資本主義が帝国主義に到達し、二回の世界大戦を経て、その歴史の最後の段階をむかえる激動の時期であり、人類の歴史のどの時代よりも、その革命と反革命の対立においてもっとも深く、もっとも全面的な時代であり、トロツキーはその最後において、第二次帝国主義戦争の不可避と世界革命のみが人類を危機から救いうるという予言を残した。そしてトロツキーは第四インターナショナルの勝利を確信しつつ不帰の人となった。
 トロツキーの生涯をたどることは二〇世紀前半の革命と反革命が葛藤する現代の歴史をたどることを意味し、レーニンを除けば、トロツキーほどその生涯が劇的で革命のまっただ中にあった人物は他にいない。スターリニストの歴史の偽造によって、トロツキーの革命的生涯は歪曲させられ、恥かしめられてきた。しかし、いまやトロツキーの生涯を正しく伝えるための作業がすすみ、トロツキー自身の自伝と、トロツキーの生涯を詳細にあとづけたドイッチャーの三部作が日本語で出版されたことにより、われわれはトロツキーの革命的生涯の全貌を知ることができるようになった。さらに、トロツキーの暗殺に到る最後の闘いの場面を政治的に伝える著作もまとめられている。
わが生涯(全二巻 現代思潮社)
亡命日記(現代思潮社)
トロツキー最後のたたかい(学芸書林)
○アイザック・ドイッチャー著 武装せる予言者・トロツキー/武力なき予言者・トロツキー/追放された予言者・トロツキー(新潮社)
○なお、トロツキー著作集でもトロツキーの闘いの生涯を伝える著作が収録されている。トロツキー暗殺未遂事件(三九〜四〇下)レオン・セドフとルドルフクレメント(三八〜三九上)ノルウェーからメキシコへ(三七〜三八下)(柘植書房)

 革命家・トロツキーの事業は未完であり、われわれがそれを受けついでいるが、このトロツキーの闘いとわれわれの闘いとの歴史的連続性を知るテキストとして、つぎの二冊は基本的な文献であろう。
○ビエール・フランク著 第四インターナショナル小史(国際革命文庫 新時代社)
○湯浅赳男著 トロツキズムの史的展開(三一書房)


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