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ともことおとうさんの対話

よくわかる

社会主義のおはなし

ともこ
 
おとうさん、世の中がとっても不景気になっちゃって、会社やお店がいっぱい倒産してるでしょう。それに会社をくびになった人たちや学校をでても就職できない人たちがいっぱい増えてきて「失業率」がとってもあがっているんだって。
 これからの日本はどうなるの? 景気はいつ良くなるの? 政府の人が「株価があがってきたから日本の経済はこれからだんだん回復していく」っていってるけど本当?

おとうさん
 経済のしくみというのはね、ものをつくって、それを運んでいって、ほしい人に売る、つまり「生産・流通・売買」のしくみのなかで発展していくものなんだよ。だから「経済が発展する」というのはほんとうは「生産が発展する」ことなんだよ。生産が発展すれば会社の業績がよくなってその会社の株価が上がっていくだろう。ところが世界の経済は今、生産はちっとも発展していないのに、たくさんのお金だけが動き回って会社の株価をあげたり下げたりしているんだ。これは本当の「経済の発展」とはいえないんだよ。だから日本の経済も「株価」はあがっているのにますます多くの人が失業しているだろう。だから「日本の景気は回復している」とはいえないんだ。

ともこ
 ふうん。じゃあ、生産のしくみと関係なく、お金を動かすだけでもうかったり損したりしている人がいるの?

おとうさん
 そうだよ。しかも、そのお金はいろんな国の人たちの年金や保険や銀行の貯金から集めてきたお金だから、とっても巨大な金額なんだ。そしてそのお金を一か所の株式相場やひとつの国のお金と全部交換したりしてお金の価値を上げたりさげたりして大儲けするんだよ。まるでルーレットやトランプでゲームをするようにね。これを「投機」というんだよ。だから本来の正常な生産をさまたげたり、そのために大きな会社がいくつも倒産したり、一国の経済が破産してしまったりしているんだ。
 世界中の経済のつながりのなかでこういう活動が行われていることを「グローバリゼーション」というんだよ。世の中はこういう投機的経済の時代に入ってしまったんだ。もうだれもこれを良くすることはできないんだ。これからの時代はほんの一部の人だけが得をして他の全部の人々はいつも損をするようになってしまったんだ。それに得をした人だって、いつ自分が損するかわからない。そんな時代になってしまったんだよ。それだけじゃない。70年まえにおこったような世界恐慌が今度いつまたくるかもしれない。

ともこ
 わあ、こわい。じゃあ世の中をかえることはできないの? 誰かが命令して経済をよくするとか、ゲームのような「投機」をやめさせるとかすればいいのに。

おとうさん
 ひとつだけ方法があるよ。今の経済はもうばらばらでだれもとめられない。でも世界中の人たちみんなが団結して、それぞれの企業を一定のルールによって管理し、生産活動についてもみんなで計画的にきめて運営する。

ともこ
 あ、それって社会主義経済のことでしょ。でもソ連や東ヨーロッパは社会主義経済に失敗したんだってきいたけど。

おとうさん
 たしかにソ連や東ヨーロッパは社会主義建設に失敗したけど、それは社会主義が悪いからじゃないんだよ。国の指導者たちの責任もあるし、アメリカや他の国々が社会主義国のじゃまをしたからでもあるんだ。
 さあ、「図書・資料室」にいろいろな本が置いてあるから、いっしょに読んで勉強しようね。


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